畑違いの職種から職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を取得し、4年間実務を経験。
事業所内で支援計画書に関するアドバイザー役をつとめていた筆者がお届けします。
この記事を読むと、
「支援計画書ってどう書けばいいの?」、「書き方のコツを教えて!」
といった悩みが解消されます。
いきなり結論ですが、支援計画書を作成する際に必要なポイントは以下の3つです。
・公的な文章であることを心がける
・要点を簡潔に述べる
・読み手がイメージしやすいように書く
の3つです。
それでは順番に解説していきます。
公的な書類であることを心がける
支援計画書は、独立行政法人である高齢・障害者・求職者雇用支援機構が運営する、障害者職業センターへ提出します。つまり、親元をたどれば政府機関のひとつということができ、カジュアルな文体は好まれません。
とはいえ、めちゃくちゃお固い文章で書かなければならないということではなく、ちょっとした表現に気を配ることで好まれる文章になります。
例えば、「ブレなく」という言葉を「一貫性を持って」としたり、「職場とのやりとり」を「職場との情報共有」、または「うまくできるように」を「水準レベルで実行できるように」など、なんとなくあいまいさが残ったり、仲間うちで使うような表現を、具体的かつ公の場で使う言葉に言い換えるといった感じです。
普段から読書をされている方であれば得意なところかもしれませんが、そうでない方はネットで調べながら書くことをおすすめします。「なんか表現がカジュアルすぎるかな?」と感じたら、『○○ 言い換え』などで検索すると適切な言葉を探すことができます。
他に、『算用数字と漢数字』または『ひらがなと漢字』を、ひとつの計画書の中で一致させるということも気をつけたいところです。
正直なところ一致していなくても意味は通ると思うのですが、一般的にビジネスの場などでもそうであるように、文章を書く上で基本的な約束事として注意しましょう。
要点を簡潔に述べる
支援に熱心なあまり書きたいことが多すぎるからといって、ダラダラと長い文章になってしまうのはNGです。
ポイントは、
・『5W1H』を意識して書く
・項目ごとに分けて書く
ということになります。
まず、『5W1H』を意識して書くということについて、これは学校でも会社でも文章を作成する際に教わって、知ってる人も多いと思うのですが、
「when:いつ」、「where:どこで」、「who:だれが」、「what:何を」、「why:なぜ」、
「how:どのように」の英語の頭文字を取ったもので、これを押さえて書くと伝わりやすい文章になります。
例えば、支援計画書で支援対象者の課題に対してどのような支援をしていくのかといったことを書く際、
「対象障害者と職場の上司との間で適切なコミュニケーションがとれるよう(why:なぜ)、
職場適応援助者が(who:だれが)月に1回程度(when:いつ)職場を訪問し(where:どこで)、
対象障害者・職場の上司・職場適応援助者同席による面談の機会を設けて(how:どのように)
意思の疎通(what:何を)を図っていく」
と、こんな感じになります。
※『5W1H』はどの順番で入っていてもいいですし、必要なければ省くものがあってもいいです。
次に項目ごとに分けて書くということですが、先ほどの『5W1H』の例文がひとつの項目としての文の長さとしては限界かと思います。これ以上長くなると読みづらくなってしまい、「結局何がしたいの?」って感じになります。
例えば上記例文にさらにプラスして書いてしまうと。。。
「対象障害者と職場の上司との間で適切なコミュニケーションがとれるよう、
職場適応援助者が月に1回程度職場を訪問し、対象障害者・職場の上司・職場適応援助者同席による面談の機会を設けて 意思の疎通を図っていき、また対象障害者が職務を遂行するための技能面における
指導を、職場適応援助者が定期的に職場へ訪問して行うことで技能の向上に努めた上で、
対象障害者のリズムや食事に関して、支援機関や医療機関及び家庭と連携することにより、
安定した就労状況が維持できるようにしていく。」
こんな感じになって読みにくいですよね。
なので原則は、『対象者の課題1つに対して1つの取り組み(多くても2つ)』で項目を区切ることをオススメします。
『5W1H』とあわせて意識することで、グッと伝わりやすい文章になりますよ!
読み手がイメージできるように書く
職業センターで支援計画書を確認する職員の方は、あなたや、あなたが支援する対象者とは会ったこともなく、また対象者が勤めている職場の状況も何も知りません。
そのような相手に対し、支援対象者がどのような障害特性を持っていて、どのような課題を抱えていて、どういった支援をしていくのかということを文章で伝えなければならないのです。
そのためのポイントとしては、
・課題に対しての支援方法・手段に一貫性を持たせる
・一般化された言葉を使う
となります。
まず、課題に対しての支援方法・手段に一貫性を持たせるですが、計画書の中身で核となるのは、
『支援対象者の障害特性』、『職場適応上の課題』、『支援の手段・手法』の3つの要素です。
そしてこの3つが関連性を持って示されることで、読み手に「なるほど」と納得感を与えることができるのです。
例えば、3つの要素が以下のようだったとしましょう。
①『支援対象者の障害特性』・・・物事を一定期間記憶しておくことが苦手
②『職場適応上の課題』・・・教わった業務手順を忘れてしまい、適切に業務を遂行できない恐れがある
③『支援の手段・手法』・・・業務の手順書を貼り出し、いつでも確認できるようにする
①〜③と順番に見ていくと「筋が通っている」と感じられるのではないでしょうか。
これがもし以下のようだったらどうでしょうか。
①『支援対象者の障害特性』・・・考えを整理して言葉として発することが苦手
②『職場適応上の課題』・・・職場内で適切なコミュニケーションがとれない恐れがある
③『支援の手段・手法』・・・業務の手順書を貼り出し、いつでも確認できるようにする
①〜②については関連性がありますね。
けれど、③は①②に直接働きかけるような取り組みでしょうか?
おそらく大体の方が「?」となると思います。
このような、いわゆる「筋が通っていない」ことにならないようにするためには、
■①〜③(順番)を「だから」でつなげる
■③〜①(順番)を「なぜ」で考える
ことをしてみてください。
そうすると、矛盾や一貫性の無さを自分でチエックすることができますよ。
次に、一般化された言葉を使うとはどういうことでしょうか。
これは逆を言うと「そのコミュニティ特有の言葉は使わない」ということです。
例えば支援する環境が飲食店や小売店で、次のような支援が必要だったとします。
『フロアマネージャーとの情報共有を定期的に行う』
ここで言う「フロアマネージャー」とはどんな人でどんな役割の人なのでしょうか?
その業界にいる方ならある程度知ってるのだと思いますが、
そういった業界をまったく知らない方はうまくイメージできないかもしれません。
こういった場合は「その人の役割」に焦点を当てて言葉にするとよいです。
職場や支援対象者との関係性によって微妙な違いはあるかもしれませんが、「フロアマネージャー」⇒「管轄売場の責任者」もしくは「職場の上長」といった感じでしょうか。
原則的には「誰が見てもわかる」表現が求められるので、そのコミュニティの中では通じるとか、
近年使われだして、まだ広く知れ渡ってないような言葉は使わないのが無難です。
迷ったら「横文字は日本語に」、「その人の役割はなに?」を意識してみてください。
さて今回は、『支援計画書』を書く際のポイントということでお伝えしましたが、この内容は『支援記録表』を書く際にも使えるものです。どちらも職場適応援助者/ジョブコーチ(JC)にとっては必ず作成が必要な書類なので、押さえるところを押さえて、「デキるJC」を目指しましょう!
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