職場適応援助者(ジョブコーチ)に必要なスキル3選


畑違いの職種から職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を取得し、
4年間実務を経験した筆者がお届けします。

この記事を読むと
「職場適応援助者(ジョブコーチ)を目指したいけど自分が向いてるかどうかわからない。。。」
「支援者としてもっとスキルアップしたい!」
と悩んでいる人が、適正や必要なスキルについて理解した上で行動できるようになります。
 

求められるスキル3つ

職場適応援助者(ジョブコーチ)※以下JCにとって
このスキルがあるとベストと言えるのは
共感力
指導力
調整力
の3つです。
なぜこのスキルが必要なのかを解説します。

共感力

「共感力」について、単に『人の気持ちを理解する力』だと思われがちですが、相手が置かれている状況や環境、またはその人の特性を理解した上で、「どうしてこういった発言や行動をするのだろう?」と考え想像しながら接することが必要になります。単に表面上の言動に同調することではありません。

特に障害者の方のなかには、自分が思っていることをうまく言葉にできなかったり、自己防衛本能から嘘をついてしまう人もいます。

ですので、相手に関する情報をできるだけ集め、本人とじっくり話をして本音を聞き出し、自分のなかで仮説を立てながら理解を深めていくといった、辛抱強く相手と接しながら信頼関係を築いていく力が「共感力」と言えます。


②指導力


読んで字のごとく、目指す方向を指し示して導く力です。自ら目標を立てたり、そこへ向かうための具体的な行動を考えて実行することを手助けするのも、JCの重要な役割のひとつです。

当たり前ですが、JC自身の価値観で目標を決めつけて強引にそこへ引っ張っていくことではありません。支援する障害者の方がどんな価値観を持ちどうなりたいのかを把握した上で、そうなるためにどうすれば良いのかを共に考え、伴走するように訓練したり、時には視野を広げて柔軟な考え方ができるように助言するなどして導いていきます。

導くというと何だか大げさで偉そうな感じもしますが、JCはあくまでも「援助者」です。
支援する障害者の方の主体性を手助けすることが、ここで言う指導力ということになります。

③調整力


JCは障害者本人とだけ関わるのではなく、障害者が働く職場の従業員や支援機関、医療機関などと連携して支援を行います。

例えば、職場の従業員から何か困りごとや相談がないかヒアリングしたり、家族関係や生活面に関することを支援機関と情報共有するなどして、就労定着に向けた課題を洗い出して各方面に働きかけるといった役割を担っているのです。

様々な立場の人を「支援チーム」としてまとめ、目標・目的とする状態に近づけるために、
・周囲の声にしっかりと耳を傾けながら目指すべき状態に対してブレずに行動する
・課題に対する落としどころを見出して提案し関係者全員が納得できるよう合意形成する
JCのこういった役割を考えると調整力は必須であると言えます。

どんな場面で必要?

では具体的に、どういった場面でこの3つのスキルが必要になるのでしょうか。
筆者が実際に体験した事例をもとにお話しします。

共感力
支援対象者のAさんは、場の空気を読んで言動することや人の気持ちを理解することが苦手で、
一見するとめちゃくちゃ自己中心的な人だと受け取られる人。

私自身もJCとして活動を始めたばかりの頃で、Aさんのことを理解するのに苦労しましたが、まずはAさんが登録していた公的な支援機関の担当者さんと連絡を密にとり、私が直接知ることのできない過去の経歴や家庭環境などの情報を集めることにしました。

すると今まで私にとっては理解しがたかったAさんの言動に対して、「もしかしてこれは、ああいった過去があったからそうなっているのでは?」などとと考えられるように。

それ以降、Aさんとの面談や仕事終わりの会話の際では、「今の発言はどうして出てきたんだろう?」「この行動の意味は?」ということを常に考えながら接するようにしました。

そんなことをしばらく続けていくうち、『Aさんはとても傷つきやすく、自己防衛として一見すると自己中心的な発言や行動をしていた』ということが理解でき、Aさんも受け入れられていると感じ取ったのか、自分からプライベートなことをどんどん話してくれるようになったのです。

信頼関係を築いていくと相手も本心を話してくれますし、こちらの話にも聞く耳を持ってくれるので格段に支援がしやすくなるので、真の意味での「共感」は本当に大事です。


指導力
Bさんは人からどう見られているか、嫌われはしないかということに過剰なくらい不安を抱く方で、私が支援に付いて最初の頃は、人の目を見れない、人が近くに来るとその場から逃げてしまう、
話しかけられるとパニックになってうまく話せないといった状態でした。

もちろんこれはBさんが持っている特性であり、すべてを変えられるということはないのですが、少しでも自分に自信が持てるようになれば今よりも職場にうまく馴染めるのではと思い、Bさんが望む姿を把握した上で、『仕事によって自信をつける』という方向性を定めました。

言われたことをただやるだけでは自信はつかないという考えのもと、各業務の進め方や細かいやり方について「Bさんならどう思う?」となるべく聞くようにし、成果が出たことに対してはとにかく褒める、修正が必要なら助言することを徹底。

また、Bさんにとっては大きな負担になるであろう、『人に何かを伝える』ということにも何度かチャレンジしてもらいました。その際に心がけていたことは、Bさんが今までうまくできていたことを伝え、
それを本人に認識してもらうということでした。
 
こういった経験を積むことでBさんは、職場の従業員の人たちに自分から話しかけて会話を楽しめるようにまでなったのです。
 
本人の主体性ありきで、見守りながら支えるというのが支援の場での「指導」だと思います。

調整力
支援の世界には『ケース会議』というものがあります。
主に支援対象者本人(場合によっては家族も)、JC、支援機関担当者、支援対象者の職場の上司が参加し、支援対象者の課題の共有と今後の支援方法などについて話し合いをする場です。このケース会議の場では特に「調整力」が求められます。

普段の支援活動において各関係者と情報共有を通して認識を合わせておくのが理想ですが、それぞれの関係者がそれぞれの見解や意見を持って集まることも、特に初期の段階では少なくありません。

私自身も、支援対象者と家族の言ってることが全然違ったり、支援機関が現状を把握しきれていない状態であったりなど、いろんなパターンを経験してきました。

ただこれは誰が悪いということではなくて、各関係者は、それぞれの置かれている環境や立場に寄った考えや見かたをしているというだけです。
なのでこういった場面で私が重視していたことは、
・それぞれの話をとことん聞く
・何が認識の違いを生んでいるのかを把握する
・完全な中立的立場としてものを言う
ということです。
   
これを心がけることで、どんなパターンでも常に「最適な支援は何か」という視点からブレずに考えることができました。

ケース会議だけではなく、支援の舵取りは原則として直接支援をしているJCの役割です。
だからこそ客観的事実にもとづいて判断、提案をし、全員の合意を得るというスキルが
必要になるのです。


 

どうやって身につけるのか

私の場合は幸運なことに、社内に研修制度が充実していたことから、 今回お話ししたスキルを学び実践で身につけることができました。
もしそういった制度がないなどの場合は、資格講座やセミナーで学ぶという手もあります。
実際私も外部のセミナーに参加したりして学びを深めていました。

あとは
・本を読んで知識を得る
・ボランティアに参加する
などでも学んで身につけることができそうです。

JCとしてではなく様々な職種でも使えるスキルなので、意欲のある方は積極的に学んでみることを
おすすめします!

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